
Hard-Bop店長、小坂新三さん
全国にも数点しかないジャズ専門店の店長さん。
お話をすると気さくな方で、とてもたのしい時間を過ごさせて頂きました。
ジャズしか知らない人は、全国のファンにとってオンリーワンな存在だ。
ジャズしか知らないんでね。小さい頃ね、ラジオから聴いていたんですよ。昔はオーディオなんてなかったからね。ラジオから影響されたよね。ポピュラーミュージックは’50年にアメリカから出てきたわけやけれど、ポピュラーゆうても歌手もジャズを歌っていました。日本でも、雪村いづみや江利チエミね、美空ひばりもそうですわ、そこら辺が大きくひっくるめてジャズを歌ってた。 私は昭和21年生まれ。戦後10年くらいたった頃ですね…せやけど、敵国の音楽ゆうてあれでしたけども。ませてたんかどうか知らなかったけど、その頃は10歳前後やったねぇ。「S盤アワー」とかいうラジオ番組がありまして、ティ・ペイジが流れてくるわけやわ。英語がわからないから、かっこええと思ったんやろね。それからずっともうジャズです。
それから10代後半になってくるとレコードが欲しくなりましたけど、なかなか買えないでしょう。’60年代後半ゆうたら、1ドル360円くらいの頃ですわ。その頃まだ輸入盤が10ドルしたんですよ。月給20,000円に4,000円くらいのものやったわけ。買えないでしょう。せやからジャズ喫茶に新譜を聴きに行きましたよ。コーヒー一杯いくらゆうてね(笑)。
集め始めた頃は、一枚買っても擦り切れるくらい聴いたなあ。オーディオもなかったでしょう。ポータブルくらいのものしかなかったからね。一枚をどんどん掘り下げていきましたよ。雑誌もよく読んだし、聴いてなくてもその曲がどんな音をしているか想像できたよね(笑)。今でもお客さん来て“あの曲いいですよ”って言わはると、“いいでしょう”って言う時あるんですよ。そうするとお客さんは“やっぱり知ってはるんですか?”ってなるわけ。でも実際は聴いたことないから“聴いたことないですよ”って返すとお客さんも笑わはってねぇ(笑)。昔から聴いてる人はそういうのわかるんでしょうねぇ。
ジャズの一番好きなところはアドリブでしょうね、ジャズの命ですから。即興演奏ゆうのが魅力ですからね。一つの楽譜にテーマがありますよね。ジャズは、テーマにそりながらも演奏するたびにアドリブが変わってくるんです。今日と明日でコロっと変わったりします。そういうところがおもしろいねぇ。好きなミュージシャンをあげるのは難しいけれども、アート・ブレイキーやホレス・シルヴァーは’60年代初めくらいに来日したこともあって、それからちょくちょく来るんですけど、そこらへんのジャズが好きやわね。
それにLPがやっぱり好きやね。針を落とす作業は一種の儀式で、いまだに緊張感があるよ。それに、A面B面があるでしょう。片面だいたい20分くらいで終わるのやけど、B面にひっくり返す時にまた気持ちを新たにして聴ける。それは昔から変わらず新鮮やね。
今はもう、ジャズの話する人が少なくなってきたよね。でも、やっぱり聴きたい言うて来てくれるお客さんはいはって、“どれから聞いたらいいですか!?”って聞かれるんですよ。全体を掴もうとすると、まず中心から聞かないとわからないから、400から500枚くらい聴いてもらいます。それだけでも大変ですけどね、でも本当に知りたい言わはる人は聴いてはりますよ。いっぺんに買えないから毎月少しずつCDを買ってね。レコードは高値ですから大変ですけどね、CDなら。でもね、若い人でもジャズ好きな人がいてね。“今月買えないけど、絶対買うから!”言うて帰って行かはるんですわ(笑)。毎月めいっぱいアルバイト入れて三度の食事も一度にして、頑張って頑張って貯めて買いに来はるんです。オリジナル盤だと6桁になってきますから、そうそう買えないんですよ。でも、そう言う人見てるとうれしいですね(笑)。
Hard-Bop
オリジナル盤から2nd、3rdまで、1枚のレコードでもさまざまなタイプをそろえている。ゆえに、ジャズファンにはとても貴重なお店であり、全国にいるたくさんのジャズファンから愛されているお店だ。大体のものがそろっているが、お客さんが探しているものをやっぱり見つけたいと、買い付けに行っては探している店長さん。もう海外にはなくなってきているけれども、もう少し見つけたいとのこと。
ビルの奥にひっそりと広がる知る人ぞ知るジャズ空間。ジャズを愛する人が大切にするお店だ。
壁に並んでいるのは超貴重盤で、1枚6桁のものばかりだ。初版ものばかりなのにジャケットもレコード自体もとても綺麗。
CDもほんと充実しているからビックリです。ビギナーからコアな人まで楽しめる。
寺町通りをずっと北に上がり、御池通りを越えて少し歩くとこの看板が見えます。そしてこういう外観です↓
手前のビルを奥に入って行くとHard-Bopさんにたどり着けます。
投稿ジャズしか知らない人は、 全国のファンにとってオンリーワンな存在だ。はonozomi.com(おのぞみドットコム)の最初に登場しました。