
Joe’s Garage店長、田中浩一郎さん
野球チーム“Joe’s Garage”の主将でもある店長さん。
結構強いらしいです!
レコード屋っていうのは“時間の過ごし方”やと思う。お客さんと楽しい時間を共有できるのもレコード屋の魅力。
’86年にここを始めました。けど、音楽一色の生活じゃなかったし情熱もそれほどなかった。他にもしたいこといっぱいあったから(笑)。ここを始める前は、木屋町にあるロック喫茶[Jam House]を前オーナーから引継いで5年ほど経営してました。二十歳の時でした。
当時のロック喫茶といえば、新譜から過去の名盤まで聴けるリスニング・スペースでした。下宿生は木造アパートでフルヴォーリュームで聴けなかったけど、あそこなら2本のJBLから会話を遮るくらいの大音量で音楽が流れてた。新しいものはもちろん古いものも含め何万枚のレコードがあった。常連さんはもちろん、遠方からも毎日たくさんの音楽フリークが集まってきてた。それまでまともにロックを聴いたことのなかった僕も、たくさん聴いていろいろな音楽を好きになった。この頃が一番情熱あったかも…。
けど、もともと飲食関係は苦手やってしんどくなってきたんです。で、そこを辞めて後できる仕事って言えば、とりあえずレコード屋かなと思って。ここを始めた’86年はちょうどCDが出始めた頃。アナログ盤の衰退がささやかれてたけど、今はとりあえず目の前にレコードがあるから、まあそれでいいやって。
Joe’s Garageという名前の由来は、フランク・ザッパのレコード名から。ロックやジャズ、現代音楽とかほんと色々な音楽を作る人。難解と言われたり、音楽以外でのサブカルシーンでも取り上げられたこともあったけど、ボクは単純にこの人の「音楽は楽しいもの」っていう考え方が好き。
ここ、もともとはカフェバーでした。今はパソコンに占領されてるところもあるけど、4、5年前まではカフェカウンターでお客さんとコーヒー飲みながらいろいろ話したり、店終わったらみんなで飲みに行ったりしてました(笑)。
レコード屋っていうのはその人とボクらにとっての“いい時間の過ごし方”かなぁ。「商品を並べておいて、お客さんが勝手に好きなものを買う」っていうのは違うと思ってる。必要以上にしゃべりかけたりはしないけど、お客さんに“こういう音楽を聴いてみたい”って言われたら、棚から引っ張り出してきたり、試聴している間に、全然関係のない話をしたり…。レコード屋以外でそういうことができるとこって限られてますよね。ここに来て、こんな時間の過ごし方もたまにはいいと思ってもらえればいいですね。
でも、そんなレコード屋も先の見通しは…。今は、「ジャケットなんていらへん、音聴ければそれでいい」っていう感覚の人も多いはず。特にアメリカ。もともと所有欲がそれほどない人らやから、なんでも合理的にネットでダウンロードします。日本も同じようになってきてる。危機感はあるけど、それはそれで時代の流れ。僕もありがたく利用させてもらってる部分もあるし(笑)。
そんな中で僕らができることは、アナログやジャケットを好きな人や、ここが好きで来てくれる人を大事にすること。それと平行してレコードというメディアを残していくことも確かに大事だけど、ただそれだけでは単なる骨董品屋への一途をたどってしまう。何か考えていかないと。
もともとレコード自体に情熱とか執着はないって言ったけど音楽が好きなのは明快です。どうしてかっていうのを説明するのは難しいけど、着るものや食べるものと同じで、物心ついた頃から、どんな違う環境にいても確かにいつもそばにはあった。
身もフタもない言い方すれば、僕にとって今のレコード屋は「仕事」。とりあえずこれでメシ食ってるわけで(笑)。仮に情熱とか、愛着というものをもっと強く持った仕事につくことができるなら、好きなサッカーとかコンピューターに携わった仕事がいい。でも今のレコード屋を「仕事」と割り切ることで、逆に甘えやいい加減なことは許されない。来てくれはったお客さんに満足してもらい、また来ようと思ってもらえるいい仕事をしていかないとダメだから。その上でそういう人たちといい時間を共有できた時は、やっぱりこの仕事をしてて良かったと思う。
ちなみに数年前、そんなお客さん達と一緒に社会人野球チーム『Joe’s Garage』結成したり。店に集った音楽好きな連中が、休みの日はユニフォーム姿で砂まみれ。それはそれで楽しい時間の共有かなと(笑)。
Joe’s Garage
オープン以来、ROCK/JAZZ系のマニアックアイテムを中心にビギナーからハードコレクターまで音楽ファンが集う。ZAPPAをメインにプログレ(特にカンタベリー系)、60&70’sのメインストリームからモダンジャズ、ソウル、ジャパニーズまでこだわりの強いアーティストを常にそろえている。アイテムは限定ものからレア・コレクターズものまでありコアな絶対的少数ファンにも応えている。また、Webサイトもかなりの充実度!もちろん購入も可能だし便利で楽しいコンテンツがいっぱいあります!
落ち着いた感じでいいでしょう?小さい店内だけど雰囲気がとてもいいし、しっかり揃ってるので、来て良かった~と思えますね。
レコード派もCD派も満足できます。レアものコアものほんっとありますから。
とにかくたくさんあります。’04年から流行のQUEENものもありますよ!
このカウンターで、3、4年前までコーヒーを飲みながらお客さんと会話を楽しんでいた。20年以上使われてきたそれは、随分ふるくなっていますがとても味があります。
店名の由来ともなったフランク・ザッパ『Joe’s garage』のジャケです。
京大農学部前、今出川通りを東へ歩いてしばらくすると見えてきます。下のバナナの看板が目印です。2階なので視線を少し上げてね。
投稿レコード屋っていうのは“時間の過ごし方”やと思う。 お客さんと楽しい時間を共有できるのもレコード屋の魅力。はonozomi.com(おのぞみドットコム)の最初に登場しました。